傷だらけの臆病で凶暴な『馬』の話


これは、
とある『運命』という名の『馬』
お話です。

その馬は、傷だらけでした。

その傷は
旅の途中で出来たものです。

その馬は、いつも健気に
旅人を乗せて進みますが、
歩くたびに傷口が開いて
血が出てしまいます。
なかなか傷は治らずに
いつも痛くてつらい
思いをしていました。

あんまりにも
痛くてつらいので
その馬はちょっとしたことにも
敏感になって
とても『臆病』に
なってしまいました。

あんまりにも
痛くてつらいので
ちょっとしたことにも
反応してしまい
とても『凶暴』に
なってしまいました。

ある日
『道』を進んでいると
草むらから小さな虫が
ピョンと飛び出しました。

この臆病な馬は
とてもびっくりして
飛び上がりました。
驚いた拍子に傷口が開いて
血が出ました。

血が出た拍子に
馬は怒って暴れだしました。
この凶暴な馬は
すぐに小さな虫に対して
『殺そう』と思いました。

そして
ありったけの力で
自分の蹄を
小さな虫に
叩き落しました。

グシャッと鈍い音がしました。
ありったけの力で踏みつけたので
馬の傷口は
さらにパックリと大きく開いて
さらに血が吹き出しました。

馬が蹄をどけると
蹄を叩き落した脇から
小さな虫がピョンと逃げました。

馬は
寸前で蹄の場所をずらして、
小さな虫を殺しませんでした。

いつもこんな調子でした。
簡単に相手を傷つけるのは
良くないことだと
馬は分かっているので・・・

結局、怒りのやり場は
自分の蹄を
思い切り『地面』に叩きつけて
そうしてまた傷口が開いて
血が出て
痛みで苦しんで・・・

傷は治らずに
新しい傷が増えました。

その度に、
もっと臆病になって
もっと凶暴になりました。

この『馬』は
傷だらけの臆病で凶暴な『馬』
です。

ある時は
ちょっとした鳥の鳴き声に
ビックリして
狂ったように暴れて
また傷が増えました。

傷の痛みで馬は
さらに臆病になりました。

ある時は
他の馬に泥をはねられ
激しく怒りました。
結局、その怒りは
自分自身に向けられて
また傷が増えました。

傷の痛みで馬は
さらに凶暴になりました。

馬に乗っている旅人は
臆病な馬が勝手にビックリして
勝手に暴れて傷つくたびに
『これくらいの痛みは
他の馬は、我慢しているから
君も頑張って我慢しなさい』
と言いました。

馬に乗っている旅人は
凶暴な馬が勝手に怒って暴れて
勝手に馬自身を傷つけるたびに
『これくらいの事で
他の馬は、暴れないから
君も心を成長させなさい』
と言いました。

そんな調子で、
馬は『道』をまっすぐ進むことはなく
旅人の行きたい場所にも行けず・・・

それでも馬は
旅人に手綱を握られれば
健気に痛みに耐えながら
進むのをやめようとはしませんでした。

ある日、いつものように
馬が暴れた拍子に
旅人は地面に振り落とされました。

馬は旅人のところに戻ってきて
「ごめんなさい。」と
謝りました。

馬は、自分の事が
情けないと思いました。

怪我をしてしまったから
臆病で凶暴になったのか
それとも、最初から
臆病で凶暴な性格だったのか
今となっては馬自身にも
分かりませんが・・・

旅人を乗せて
この『道』を
まっすぐ進んでこれなかった自分は
『馬として価値が無いんだ』
と申し訳ない気持ちで
いっぱいでした。

他の馬に出来ることが
自分に出来ない事が
本当に情けないのと
申し訳ないのとで
馬はとても
悲しい気持ちでした。

旅人は
そんな馬の頭を
優しくなでました。

旅人は言いました。
「つらい思いをさせて
ごめんね。」

「手綱を握って、
行く方向を決めたのは
私だった。」

「私が手綱を握ったから
君は傷だらけになりながらも
頑張って進んでくれたんだね・・・」

「もう、
無理して進むのはやめよう。
これからは、
一緒にのんびり歩いていこう。」

そう旅人は言って
馬の手綱と鞍を外しました。

馬は心配そうに言いました。
「でも、一緒にのんびり歩いていたら
他の人達から取り残されてしまうよ?」

旅人は言いました。
「私の愛馬は傷だらけなんだ。」

「傷の痛みのせいで、
臆病になってしまっていて
ちょっとしたことで
ビックリしてしまう。」

「そして、
とても凶暴なんだ。
すぐに怒って、暴れてしまうんだ。」

馬が言いました。
「ボクの事だ。」

旅人は言いました。
「そう、
私にとって、世界でたった一頭の
私の大切な『愛馬』なんだ。」

「君以外にいないんだ。
私の『運命』という名の『愛馬』は。
代わりはどこにもいない。
私はそんな大切な
世界にたった一頭の『愛馬』を
進ませ続けて
傷だらけにしたんだ。」

そうして旅人は
もう馬に乗ることはありませんでした。

馬の傷口が開かないように
馬と一緒に
ゆっくりのんびり歩きました。

一緒にのんびり歩くと
馬もだんだん
穏やかな気持ちになれました。

今でも馬は臆病で、
ちょっとしたことにビックリして
暴れて傷口が開くことがあります。

今でも馬は凶暴で
ちょっとしたことで怒って
暴れて傷口が開くことがあります。

でも
傷口が開いたら
血が止まるまで
その場で旅人とジッと休みます。

休んでいる間は、
旅人と一緒に
ぼんやり景色を眺めたり
昔の楽しい思い出を
思い出したりして過ごします。

そうしてまた
傷口の血が止まったら
旅人と一緒に
のんびり歩き始めます。

その馬は
体中、傷だらけです。

そのせいで
いつも痛みで苦しんでいます。

だから
ちょっとしたことでも
ビクビクしたり
恐がったりして
とても『臆病』です。

そして
ちょっとしたことで
ひどく暴れる
とても『凶暴』な馬です。

でも、
相手を傷つけたりしない
優しい馬です。

傷だらけの臆病で凶暴な『馬』です。

今日もその馬は
旅人と一緒に
のんびり歩いています。

相変わらず
『傷だらけ』で、
今でも『臆病』で、
今でも『凶暴』だけど・・・

旅人は馬を
大切にしてくれています。

だから馬は
前ほどには
新しい傷が
増えていないみたいです。

痛みで苦しむ事も
ちょっと減りました。

手綱も鞍も
何もつけていない
傷だらけの裸馬と
一人の旅人が
今も『道』を
並んでのんびり
歩いています。


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